外壁の継ぎ目の部分(コーキング)に細かいヒビが…
すぐに対処した方が良いのかな?
住宅会社がコーキングのヒビを見つけて、すぐに外壁塗装をすべきだと言ってきたけど信じていいの?
コーキングのヒビから雨漏りするの?
こんな悩みを解決します。
建築関係の企業で4年以上働いていて、一級建築士の資格も持っている私、だん(壇)が説明します
参考記事:【危険度別】外壁のひび割れ(クラック)の対応・原因|放置していい?【一級建築士が解説】
コーキング(シーリング)のひび割れを放置すると雨漏りするか?
そもそも気にしなくて良いタイプのひび割れ
コーキングそのものではなく、コーキングの上にしてある塗装だけがひび割れしてい要る場合、あまり気にする必要はありません。
家は、道を通る車や電車の振動や地震、風などの力で揺れることがよくあります。
家が揺れたときに柔軟に対応できるように、外壁の継ぎ目にあるコーキングは、伸びたり縮んだりするようになっています。
でも、コーキングの上に塗ってある塗料は伸び縮みできずに、塗料にヒビが入ってしまうことはよくあります。
コーキングそのものがひび割れていなければ、家に対する悪影響はないので、基本的には放っておいて大丈夫です。
将来外壁の再塗装をするときに、コーキングも一緒に再塗装することになります。
コーキング自体も劣化していたら、外壁再塗装の時に打ち換えたりするよ
コーキング自体がひび割れている場合は補修したほうが無難
具体的な補修方法や費用相場については、以下の記事を参考にしてください。↓
(参考記事):【一級建築士が解説】コーキング(シーリング)の補修方法・費用|DIYはやめた方が良い理由
コーキングから壁の中に雨水が入り込み、木材の腐食・シロアリ・カビにつながる
まず、サイディングを使った外壁の水平断面はこんな感じです。
サイディングは、一般的に胴縁や柱・間柱という木材に釘で固定されています。(他の固定方法の場合もあります)
サイディングの内側には、透湿防水シートという、水を通さないシートがあります。
でも、透湿防水シートよりも屋外側にある胴縁などの木材は、コーキングのひび割れや裂け目から雨水が浸入すると濡れてしまいます。
少しの水ならすぐ乾くので問題ありませんが、コーキングのヒビを放置して、水が浸入しやすい状態が続くと、木材が湿った状態が続いて、腐食やシロアリ・カビの原因になったりします。
また、透湿防水シートも、外壁が日光に当たったときの熱などで劣化していくため、釘穴の部分などから、建物を支えている構造材(柱、土台など)まで水が侵入してしまうこともあります。
室内への雨漏りにつながる場合がある
コーキングのひび割れや裂け目から水が侵入しても、基本的にはその内側にある透湿防水シートが、屋内まで水が浸入するのを防いでくれます。
しかし、下図のように、サイディングの継ぎ目の位置に窓などがある場合は、コーキングのひび割れや裂け目からの雨漏りに繋がりやすいです。
また、透湿防水シートも、壁の中の熱等で劣化して裂けてしまい、水が侵入してしまうことがあります。さらに、透湿防水シートの釘穴などから水が侵入してしまうこともあります。
このように、劣化したコーキングの位置や、透湿防水シートの状態によっては、コーキングのひび割れや裂け目が雨漏りにつながる場合もあります。
焦って補修する必要はないから慎重に検討しよう
コーキングがひび割れたり、裂けたりしても、焦って補修業者を決める必要はありません。
その理由を説明します。
コーキングの内側は下図のようになっています。
コーキングのひび割れ、裂け目から水が入っても、まずはジョイナーに阻まれます。
ジョイナーより内側に水が入ってきても、透湿防水シートに阻まれます。
そのため、コーキングのひび割れがすぐに雨漏りにつながる可能性は、そんなに高くありません。
とはいえ、
- 透湿防水シートが劣化している場合
- 壁の中の透湿防水シートや、窓のサッシ周りの施工が雑な場合
- 大雨などで壁の中に大量の水が侵入し、排出が追い付かなかった場合
こんな場合は雨漏りする場合もあるので、コーキングのひび割れがあったら早めに補修を検討し始める必要はあります。
外壁塗装などのリフォームは、トラブルが多い工事ですので、2社以上の見積もりを取って慎重に業者を選びましょう。
外壁の補修は、歯医者に行くのと似ています。
すぐに治療しなくても命に関わるわけではないけど、後回しにしすぎると後悔します。
コーキング(シーリング)が劣化する原因
日光等による劣化
コーキング(シーリング)は、日光に含まれる紫外線によりダメージを受け劣化していきます。
そのため、日光がよく当たる南面のコーキングは、他の方角の面と比べて、ひび割れが発生しやすくなります。
地震や風等による建物の揺れ
家に限らず、建物は、地震や風・道路を走る車や電車などが原因で、揺れます。
鉄筋コンクリート造の建物に比べて、特に木造や軽量鉄骨造の建物は、揺れが大きくなりやすいです。
建物の揺れにくさ(変形のしにくさ)を、剛性と言います。
建物の揺れに合わせて、コーキングは伸び縮みするため、紫外線によるダメージも重なって、ひび割れを生じます。
施工不良
施工不良により、コーキングの厚さが不十分な場合があります。
コーキングの厚さが不十分だと、地震や風による建物の揺れ等が起こったときに、ひび割れが起きやすくなってしまいます。
コーキング(シーリング)の補修が必要となる時期は10年が目安
コーキングの耐用年数は、一般的には10年程度と言われています。
コーキングの補修の時期を考える際は、10年程度を目安にしつつ、
- コーキングの塗装だけでなくコーキング自体にひび割れがあるか
- 足場が必要となる他の補修工事(外壁塗装・屋根塗装など)の時期
を考慮して補修の時期を決めるのがおすすめです。
足場をかけるのには数十万円の費用が掛かるので、足場が必要となる工事はまとめてやった方がコスパが良くなります。
参考:(外部リンク)公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターHP「コーキングの耐久年数、外壁塗装時期の目安はあるか」
具体的な補修方法や費用相場については、以下の記事を参考にしてください。↓
(参考記事):【一級建築士が解説】コーキング(シーリング)の補修方法・費用|DIYはやめた方が良い理由
コーキング(シーリング)の役割は?
- サイディング同士がぶつからないためのクッション材
- 雨が外壁の内部に侵入するのを防ぐ
サイディング同士がぶつからないためのクッション材
サイディング外壁は主にセメントでできており、硬くてもろいです。
そのため、もしコーキングがなかったら、地震や風などで建物が揺れた際に、サイディング同士がぶつかってしまって、欠けたり割れたりしてしまいます。
やわらかいコーキングがあることで、サイディング同士がぶつからないようになっています。
サイディングは、工場で作った既製品のボードを現場で壁に貼り付けて施工するから、どうしても継ぎ目が出てきてしまうんです。その継ぎ目をコーキングでふさぎます。
雨が外壁の内部に侵入するのを防ぐ
もしコーキングがないと、サイディングの継ぎ目の部分から、壁の中に雨水が入ってきてしまいます。
ゴムのように密着性のあるコーキングで、サイディングの継ぎ目をふさぐことで、雨が外壁の内部に侵入するのを防いでいます。
お風呂の栓も、水が流れていかないように、密着性のあるゴム製のものが使われますよね。
それと同じです。
まとめ
- コーキングの上に塗ってある塗装がひび割れてるだけなら、すぐに対処する必要はない
- コーキング本体がひび割れたり裂けたりしていたら、補修を検討した方が良い
- 必ずではないが、コーキングのひび割れが原因で雨漏りする場合もある
- コーキングがひび割れていても、焦って補修する必要はない。慎重に業者を検討しよう
コーキングや外壁の劣化に気づいたら…
コーキングのひび割れに気づいたら、外壁塗装の時期が近付いているサインです。
検討を始めましょう。
参考記事:外壁塗装の必要性を一級建築士が解説|しないとどうなる?みんなやってるのはなぜ?
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