長期優良住宅は固定資産税が安くなるの?
逆に高くなるという噂を聞いた!
長期優遇の税制優遇ではどれぐらい安くなるんだろう?
こんな悩みを解決します。
建築関係の企業で4年以上働いていて、一級建築士の資格も持っている私、だん(壇)が説明します。
今後のライフプランを考えて、購入する住宅の金額や住宅ローンの種類を決めないと、将来的にローンの返済が苦しくなってしまう可能性があります。
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【前提知識】長期優良住宅はメンテナンスしやすくて長持ちする住宅
長期優良住宅は、メンテナンスしやすく長持ちする住宅。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の基準に適合しており、特定行政庁(都道府県or市区町村)の認定を受けた住宅を、長期優良住宅と言います。
すごくざっくり言うと、メンテナンスしやすく長持ちする住宅です。
以下の項目の審査に合格している必要があります。
詳細:【長期優良住宅とは?】認定基準・条件や確認方法を一級建築士が解説
固定資産税の減税は長期優良住宅の大きなメリット
長期優良住宅は5年間、固定資産税が半額になります。(長期優良じゃない普通の家は3年間)
固定資産税が5年間半額になるのは、長期優良住宅の大きなメリットです。
新築一戸建て住宅の場合、建ててから3年間、建物の固定資産税が半額になります。
それに対し、長期優良住宅の場合は、建ててから5年間、建物の固定資産税が半額になります。
床面積100㎡くらいの家ならどのくらいお得になるか、計算してみました!
床面積100㎡くらいの家の場合、
- 長期優良でない普通の家なら、減税額は約18万円
- 長期優良住宅なら、減税額は約28万円
→長期優良住宅の方が約10万円お得
となりました。
計算過程(興味ない方は読み飛ばしてください)
床面積100㎡、評価額の㎥単価10.3万円、税率1.4%で計算。
1~3年目の経年減点補正率は0.8、4~5年目の経年減点補正率は0.68で計算。
普通の住宅 | 長期優良住宅 | |
1年目 | 約12万円が半額に→約6万円 | 約12万円が半額に→約6万円 |
2年目 | 約12万円が半額に→約6万円 | 約12万円が半額に→約6万円 |
3年目 | 約12万円が半額に→約6万円 | 約12万円が半額に→約6万円 |
4年目 | 約10万円 | 約10万円が半額に→約5万円 |
5年目 | 約10万円 | 約10万円が半額に→約5万円 |
合計 | 約38万円 | 約28万円(約10万円お得) |
固定資産税の算出方法については、後の章で解説します。
長期優良住宅には、固定資産税の減税以外にも、補助金や地震保険の割引などのメリットがあります。詳細はこちら↓
詳細:【メリット・デメリット】長期優良住宅はどんな人が向いてる?お得?
長期優良住宅に関する国交省のホームページで、わかりやすいパンフレットが見れます。
国交省のホームページはこちら
長期優良住宅の固定資産税が逆に高くなるという噂は誤解
Q:長期優良住宅にすると普通の住宅より固定資産税が高くなる?
→A:高くならない可能性が高い。
Q:長期優良住宅は年数が経っても固定資産税が下がりにくい?
→A:普通の住宅と同じように下がります。
長期優良住宅にしても固定資産税は高くならない
長期優良住宅にしても、固定資産税は高くならない可能性が高いです。
正確な情報を知るには市区町村に確認しましょう。(営業マンや工務店の言葉を鵜呑みにするのはNG)
長期優良住宅に否定的な工務店や営業マンは「長期優良住宅にすると固定資産税が高くなる」と説明することがあるようです。
しかし、長期優良住宅にするだけで固定資産税が高くなる可能性は低いです。
固定資産税は、以下のような計算で決められています。
再建築費表点数(同じ家を再建築したらかかる費用)は、基本的に家の各部位(屋根・壁など)に使われた材料や設備の種類によって決められます。
高級な材料を使っていたら再建築費表点数(同じ家を再建築したらかかる費用)が高くなるので、固定資産税も高くなります。
長期優良住宅は、必ずしも普通の住宅よりも高級な材料や設備を使いません。
そのため、長期優良住宅だからと言って固定資産税は高くなりません。
参考:総務省HP内 固定資産評価基準
※固定資産税は市区町村で決められています。正確な情報が知りたい方は市区町村の固定資産税課に聞いてください。
以下のサイト(外部サイト)で、実際に岐阜市役所の固定資産税課に質問して、長期優良住宅でも固定資産税が高くならないことを確認されています。↓
外部サイト:羽田建設(株)HP「事例4」
長期優良住宅でも年数が経つと固定資産税は下がる
長期優良住宅でも、年数が経つと普通の住宅と同じように固定資産税が下がります。
長期優良住宅は年数が経っても資産価値が下がりにくいから固定資産税も下がりにくいのでは?
こんな風に考える人も多いと思います。
鋭い!
しかし実際は、長期優良住宅も、普通の住宅と同じように年数が経つと固定資産税が下がります。
建物は、年数が経つと経年劣化で価値が下がっていきます。
経年劣化を固定資産税額に反映させるのが、経過年数に応ずる減点補正率(経年劣化による減額係数)です。
ざっくり言うと、一般的な木造住宅の場合、
- 築1年だと固定資産税が新築時の80%の額になる
- 築10年だと固定資産税が新築時の54%の額になる
- 築25年だと固定資産税が新築時の20%の額になる(25年以降は下がらない→ずっと20%)
こんなイメージでOKです。
この80%や54%といった数字が、「経過年数に応ずる減点補正率(経年劣化による減額係数)」です。
年数が経つと「経過年数に応ずる減点補正率(経年劣化による減額係数)」が小さくなるので、固定資産税も安くなります。
「経過年数に応ずる減点補正率(経年劣化による減額係数)」は、建物の構造(鉄骨・木造など)や用途(住宅・事務所など)や建物の㎥単価(木造の場合)によってほぼ決まります。
例えば、築10年時点の経過年数に応ずる減点補正率は、
- 一般的な木造住宅(㎡単価が約10万円)の場合→0.54
- 軽量鉄骨造の住宅(鉄骨の厚さが3~4㎜)の場合→0.5704
です。
参考:総務省HP内 「固定資産評価基準」 第2章 家屋 別表第9(木造)、別表第13(木造以外)
長期優良住宅かどうかは、「経過年数に応ずる減点補正率(経年劣化による減額係数)」には関係ありません。
固定資産税を計算するときの建物の評価額は、実際の建物の価値とは全然違うんです。
そのため、年数が経つと、長期優良住宅も普通の住宅も同じように固定資産税は下がります。
今後制度が変わって、長期優良住宅の固定資産税が下がりにくくなることが無いとは言い切れませんが、
現在の制度では、長期優良住宅も普通の住宅も同じように税金がだんだん安くなっていきます。
長期優良住宅の税制優遇に過度の期待は禁物
長期優良住宅の税制優遇で得する金額は10~20万円くらいです。
税制優遇だけを期待して長期優良住宅を建てるとがっかりする可能性が高いです。
長期優良住宅の税制優遇で得する金額を、ざっくり計算してみました。
得する金額が10万円くらいだったら、長期優良住宅の申請費用・書類作成費用でほとんど消えてしまいそうですね。
税制優遇に過度の期待を持つのは禁物です。
長期優良住宅の本当の価値は、都道府県や市区町村から「メンテナンスしやすくて長持ちしやすい住宅」のお墨付きをもらえることです。
長期優良住宅にすることで、性能が足りていない家を作ってしまうことを防止たり、将来家を売却・賃貸しやすくなるメリットがあります。
詳細:【メリット・デメリット】長期優良住宅はどんな人が向いてる?お得?
まとめ
- 長期優良住宅にすると新築住宅の固定資産税の減税期間が2年間延長される。10万円くらい得する場合が多い。
- Q:長期優良住宅にすると固定資産税が高くなる?
→A:高くならない可能性が高い。営業マンの言葉を鵜呑みにせず市区町村に確認を取ろう。 - 長期優良住宅の税制優遇に過度の期待は禁物。
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