【長期優良住宅の定期点検】点検項目は?|自分で点検できる?【一級建築士が解説】

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長期優良住宅の定期点検は自分でやってもいいの?業者に頼むと高そう

長期優良住宅の定期点検の時期が来た!

どうやればよいのかわからん

点検項目を知りたい!

点検のやり方も知りたい!

 こんにちは、だん(壇)です。

 長期優良住宅の点検って、実は必ずしも業者に頼まなくても良いんです。意外ですよね

この記事で分かること
  • 長期優良住宅の定期点検は家の持ち主が自分でしてもOK!
  • 維持保全計画書の通りに点検・修繕などを行わないといけない
  • 点検項目、点検のやり方を説明します
だん(筆者)
だん(筆者)

建築関係の企業で4年以上働いていて、一級建築士の資格も持っている私が説明します。

 長期優良住宅の定期点検の必要性/なぜしないといけないのかが気になる人は、こちらの記事をご覧ください↓

(参考記事):長期優良住宅の点検・メンテナンスしないとどうなる?|罰金や返金がある?

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長期優良住宅の定期点検は家の持ち主が自分でやっても良いの?

自分でやって良いか

自分で定期点検してOK!

 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会のパンフレット「長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]〔令和4年3月発行〕」に以下の記載があります。

 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会は、長期優良住宅の技術審査などをしている企業で構成されている組織です。

維持保全計画に基づく点検等は建築主等が行うことが原則です。ただし、専門の工事施工者が別途依頼を受けて点検・補修を行うことも考えられます。

長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]〔令和4年3月発行〕18ページ

 建築主とは、家の持ち主のことです。

長期優良住宅の点検をだれに頼むか?3パターン

  • 家の持ち主が自分で点検する
  • 家を建てたハウスメーカーや工務店が点検する
  • 第三者の建築士などに点検を頼む

 5年に1度くらいは、専門家(ハウスメーカーや工務店、第三者の建築士など)に点検してもらうのがおススメです。

詳細:長期優良住宅の定期点検費用の目安はいくら?誰に頼む?

そもそも長期優良住宅って何?

長期優良住宅とは?

「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の基準に適合しており、特定行政庁(都道府県or市区町村)の認定を受けた住宅を、長期優良住宅と言います。

長期優良住宅には、こんなメリットがあります↓

  • 住宅を長い間使用できるだけの性能
  • 税制優遇
  • 補助金
  • 住宅ローンの金利引き下げ
  • 地震保険の割引
だん(筆者)
だん(筆者)

「長持ちする住宅」のイメージでOKです。

詳細:【長期優良住宅とは?】認定基準・条件や確認方法を一級建築士が解説

維持保全の義務

 長期優良住宅の認定を受けたら、認定を受けるときに提出した維持保全計画書の通りに点検やメンテナンス(修繕など)を行う必要があります。

 また、認定を受けたときの書類や、点検やメンテナンス(修繕など)の記録はすべて保管しておく必要があります。

 これらの書類は、行政から提出を求められることがあります。維持保全計画書の通りに点検・修繕を行っていなかったり、ウソの報告を行うと、認定の取り消しや罰金のリスクがあります

詳細:長期優良住宅の点検・メンテナンスしないとどうなる?|罰金や返金がある?

助手
助手

家を長持ちさせるためにも、点検・メンテナンスは超大事!

「点検やメンテナンスが面倒くさい」「長期優良住宅の認定を取り消したい」という方は、こちらの記事も参考にしてください。↓

参考記事:【長期優良住宅やめたい人へ】取り消すとどうなる?申請のやり方は?

【無料点検】まずは家を建てたときの契約書を確認しよう

無料点検 契約書を確認

 大手・中堅のハウスメーカーの場合は、アフターサービスとして住宅の定期点検を無料で行ってくれる会社も多いです。

 家を建てたときの契約書類を確認して、無料点検に関する記載がない確認しましょう。

維持保全計画書とは? 

長期優良住宅の維持保全計画書

 長期優良住宅の認定を行う際、行政に対して認定申請書を提出します。

 認定申請書の中に、維持保全計画書という書類が入っています↓

引用元:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会HP パンフレット(外部リンク)
長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]〔令和4年3月発行〕18ページ

だん(筆者)
だん(筆者)

定期点検を行うときは、まずは維持保全計画書を用意しよう

 長期優良住宅の認定通知書(外部リンク:Google画像検索)と一緒に保管されている場合が多いです。

維持保全計画書で確認する項目
  • 点検の時期
  • 点検部位と項目

点検を行う時期

定期点検の時期

 維持保全計画書に記載されている通りの時期に定期点検を行う必要があります。

 基本的には以下のような記載なっているはずです。

  • 30年以上点検を行う
  • 少なくとも10年に1回は点検を行う
  • 台風や地震などの災害があったら臨時点検を行う
  • 点検結果に応じて、修繕等を行う

 地震や台風などの災害があった後は、なるべく早く点検を行った方が良いです。(理由↓)

 地震や台風などの災害があった後は、不具合を見つけたときに地震保険や火災保険で保険料が請求できる可能性があります。災害から時間がたってしまうと、災害と不具合に因果関係があるかどうかが不明確になってしまいます。

だん(筆者)
だん(筆者)

不具合を見つけたら、写真を撮って記録しておきましょう。

そして早めに保険会社に連絡しましょう。

(参考:外部リンク)ダイヤモンド不動産研究所「火災保険の請求はどうやる? 事故発生から支払いまでの流れと、保険金申請のコツを紹介!」

助手
助手

維持保全計画書の内容を変更したい場合は、変更の申請が必要となります。

行政(都道府県か市区町村)か、家を建てたハウスメーカーや工務店に相談しましょう。

点検項目・点検部位の解説

点検のやり方

点検シートを活用しよう

 (一財)住宅金融普及協会ホームページで、マイホーム「維持保全記録シート」【戸建て用】が公開されているので、活用しましょう。↓

参考:(一財)住宅金融普及協会HP「長期優良住宅業務 維持保全記録シートについて」のページ(外部リンク)

点検項目の解説

 点検部位・点検項目はこんな感じです。↓

 点検にかかる時間は30分くらいかと思います。

引用元:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会HP パンフレット(外部リンク)
長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]〔令和4年3月発行〕18ページ 

 上の維持保全計画書の中には、少し難しい言葉も入っているので、解説します。

点検部位・点検項目の解説
  • コンクリート基礎立ち上がり→住宅の一番下(地面に接している)のコンクリートの部分を基礎と言います。基礎は、40~50センチくらい垂直に立ち上がっています。画像(外部リンク Google画像)
  • 基礎の沈下→地盤が悪いと、建物の重みで基礎が地面に沈むことがあります。(地盤沈下)床が傾いていたら注意!
  • 基礎の蟻道→土が固まったようなものでできた、シロアリの通り道。(外部リンク Google画像
  • 基礎の換気口→床下を換気するため、基礎に換気口があります。換気口の代わりに基礎パッキンを使うこともあります。
    換気口の画像↓
    外部リンク Google画像
    基礎パッキンの画像↓
    外部リンク Google画像
  • 土台→基礎の立ち上がりの上に横向きに固定された木材。床下に入ると見ることができます。(外部リンク Google画像
  • 床鳴り→床がきしんで音が鳴る現象
  • 雨漏り等の跡→雨漏りや漏水が起きると、天井や天井裏(屋根裏)に染みができます。(外部リンク Google画像
  • 雨樋→屋根の先端についている筒みたいなものです。軒樋(のきどい)や竪樋(たてどい)などから成り立っています。
    軒樋の画像↓
    外部リンク Google画像
    竪樋の画像↓
    外部リンク Google画像
  • 軒裏→屋根の出っ張っている部分を軒(のき)と言います。(「軒下で雨宿り」と言ったりしますよね。)軒の、下から見上げた天井の部分を軒裏(軒天)と言います。(外部リンク Google画像
  • 開口部、建具→窓、ドア、戸などをイメージしてもらえればOKです。
  • 漏水→水を出していないのに水道メーターが回っていたら漏水の可能性があります。
  • 胴差、筋かい、間柱→胴差は2階床の位置にある水平方向の木材です。筋かいは、壁の中に斜めに入っている木材です。間柱は壁を張るための細い柱です。(外部リンク Google画像
  • 大引、床束、根太、たる木、もや、小屋束(づか)、棟木→下図参照
    大引、床束、根太などでできた部分を床組と言います。
    たる木、もや、小屋束、棟木などでできた部分を小屋組と言います。

引用元:一般財団法人住宅金融普及協会HP 木造住宅工事仕様書 平成22年(その8)141ページ

助手
助手

木造住宅は専門用語が多いんです💦

どうやって点検するの?

 基本的には、各点検部位を注意深く目で見ていきます。

  • 基礎、土台、床組は、ライトを持って、床下点検口から床下に入って点検する。
    床下点検口は、台所や洗面所、畳の下などにある場合が多いです。
  • 小屋組は、ライトで照らしながら天井の点検口から覗く。(天井の裏に上るのは危険!)
    天井の点検口は、浴室や押入れなどにある場合が多いです。
  • 屋根は、2階の窓等から覗ける範囲で点検する(屋根に上るのは危険!)
  • 水を出していないのに水道メーターが回っていたら漏水の可能性があります。
    水道メーターは、敷地内の地面のフタの中にある場合が多いです。

 点検を自分でするときは、以下の資料も役に立ちます。

参考:(外部リンク)長期優良住宅維持保全マニュアル
愛知県HP「長期優良住宅の維持保全」↓より
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenchikushido/06chouki-03ijihozen.html

不具合は修繕しよう

不具合は修繕が必要

 維持保全計画書の中に、「点検結果に応じて、調査・修繕等を行う」と記載されている場合がほとんどです。

 維持保全計画書の通りにしないといけませんので、不具合を見つけたら調査や修繕を行う必要があります。

 こちらの記事で、長期優良住宅のメンテナンスにかかる費用の目安を試算しています。↓
参考記事:【一級建築士が解説】長期優良住宅のメンテナンス費用(補修費用)は高い?|10年後や30年後に何円かかる?

点検記録、メンテナンス(修繕)の記録を保管しよう

点検記録の保管

 長期優良住宅の点検記録や、メンテナンス(修繕)の記録は、行政から提出を求められる場合があります。

 提出しない場合やウソの報告をした場合は30万円以下の罰金となることもあります。

 点検記録やメンテナンス(修繕)の記録は保管しておきましょう。

だん(筆者)
だん(筆者)

点検記録やメンテナンス記録を保管しておくと、家を売る際や次回のメンテナンスの際にも、役に立ちます。

まとめ

まとめ
  • 長期優良住宅の定期点検は家の持ち主が自分でしてもOK!
  • 維持保全計画書の通りに点検・修繕などを行わないといけない
  • 30分くらいで目で見て点検できる!

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