家のメンテナンス費用は、10年後、30年後にどれくらいの金が掛かるの?
ハウスメーカーや工務店からメンテナンスを勧められているけど、金額が高い!
長期優良住宅はメンテナンスが強制だから、費用が高額になるの?
こんな悩みを解決します。
建築関係の企業で4年以上働いていて、一級建築士の資格も持っている私、だん(壇)が説明します。
この記事を読めば、家のメンテナンス費用の目安が分かるので、メンテナンス工事でぼったくりの被害に合う可能性が少なくなります。
また、生活の質を落とすことなく、無理なくメンテナンス工事の費用を貯めておく方法がわかります。
2023年版の積算資料を参考に、最新情報を書いているので、家のメンテナンス費用が心配な人は、ぜひ最後まで読んでください。
家のメンテナンス費用|10年後、20年後、30年後(2023年版)
「積算資料ポケット版 リフォーム編2023」(一般財団法人経済調査会)を参考に、メンテナンス費用を算定してみました。参考までにどうぞ。
建築資材の高騰もあり、2022年に計算した時よりメンテナンス費用が高くなっていました。💦
10年後と20年後のメンテナンス費用試算
住宅の規模 | 10年後と20年後に掛かるメンテナンス費用の目安 |
床面積100㎡ 2階建て | 約130万円(目安)+設備の交換(給湯器やキッチン) |
床面積150㎡ 2階建て | 約165万円(目安)+設備の交換(給湯器やキッチン) |
※税抜き・ハウスメーカーや工務店の諸経費抜きを想定
※あくまで一例なので参考程度に考えてください(10年後、20年後の物価や人件費の上昇は考慮していません)
※想定しているメンテナンス項目↓
- 防蟻処理(シロアリ対策)
- 足場代
- 外壁・屋根・外装金物の再塗装
- バルコニー防水の補修
- 外部建具(窓など)のシーリング補修
30年後のメンテナンス費用試算
住宅の規模 | 30年後にかかるメンテナンス費用の目安 |
100㎡ | 約473万円(目安)+設備の交換(給湯器・キッチン・風呂・トイレ) |
150㎡ | 約591万円(目安)+設備の交換(給湯器・キッチン・風呂・トイレ) |
※税抜き・ハウスメーカーや工務店の諸経費抜きを想定
※あくまで一例なので参考程度に考えてください(30年後の物価や人件費の上昇は考慮していません)
※想定しているメンテナンス項目↓
- 防蟻処理(シロアリ対策)
- 足場代
- 外壁・屋根・外装金物の張替え・葺き替え・交換
- バルコニー防水の補修
- 外部建具(窓など)の交換
家のメンテナンス費用を安くする方法
メンテナンスが必要だということは分かったものの、ハウスメーカーや工務店から提案されたメンテナンスの費用が高くて、動き出せない人も多いと思います。
ハウスメーカーや工務店を通さずに、自分で業者を探してメンテナンスを行えば、安くできる可能性が高いです。
ハウスメーカーや工務店は中間マージンが多いので、メンテナンスの費用が高くなりがちです。
ハウスメーカーや工務店も、自社ではなく下請けに工事を任せていることがほとんどで、自分で業者を探しても工事の質は変わりません。
例えば、ハウスメーカー・工務店から提案された外壁・屋根塗装工事の価格が高すぎて悩んでいる人は、下記のサイトで診断をすると、安くなる可能性が高いです。
こちらの記事で、外壁塗装の優良業者の特徴・選び方について解説しています。↓
参考記事:屋根・外壁塗装はどこに頼む?失敗しない選び方|おすすめ優良業者の特徴
固定費を見直してメンテナンス費用を積み立てよう
メンテナンス費用は、毎月積み立てておくと安心
家を建てたら、月当たり2.5万~3万円くらいは金額を積み立てておいた方が無難です。(あくまで目安です)
貯めるときは、普段使いとは別の銀行口座を開設して、そこに貯めていくなどがおススメです。
でも、月に2.5~3万円のお金を積み立てられるほど、家計に余裕がない人も多いですよね。
そこで、持ち家を買った後に掛かる主なお金について考えてみましょう。
持ち家を買った後にかかる主なお金
- ①住宅ローン支払い
- ②固定資産税
- ③火災保険・地震保険料
- ④メンテナンス・リフォーム費用
この中で、特に減らせる金額が大きく、簡単に減らせる可能性が高いのは①住宅ローン支払いです。
①住宅ローンの支払いを減らすことで、浮いたお金を④メンテナンス費用に回すことができます。
次の章で、住宅ローンの支払いの減らし方を紹介します。
(④メンテナンス費用を減らす方法についてはこちらを参照。)
住宅ローンの支払いを減らす方法
住宅ローンの借り換えを行うことによって、毎月の支払額を減らせる可能性があります。
借り換えとは、他の金利の低い金融機関で住宅ローンの契約をして、現在申し込んでいる住宅ローンの残金を一括返済することです。
以下のサービスを使うことで、あなたにとって一番お得で審査に通る住宅ローンを探すことができます。
総額100万円以上の節約となることも珍しくありません。
特にこんな人は、ローン支払額を減らせる可能性が高いです↓。
- 現在返済中の住宅ローン金利が0.8%以上
- ローン残債が1,000万円以上
- 今から5~10年より前に住宅ローンを組んだ人
以下の理由から、なるべく早く(今)借り換えるのが一番お得です。
- 返済が進みローン残高が減った後だと、借り換えで節約できる額も減る。
- 現在の金融緩和政策が終わって金利が高くなると、借り換えで節約できる額が減る。
日銀の総裁も最近変わったので、今後も低金利を続けてくれるかどうか、注目ですね。
提案されたメンテナンス費用が高かった時に思い出してほしいこと
- 住宅の点検のためだけに足場を設置することはあまりない
- メンテナンス費用と保証内容のバランスが大事
- 10年間の瑕疵担保責任の存在
- 火災保険・地震保険の存在
- リフォーム見積もりチェックサービスがあります
住宅の点検のためだけに足場を設置することはあまりない
点検のために足場を設置するから、ついでに外壁塗装や屋根塗装まで弊社にお任せください。
足場代は数十万円かかるので、点検のタイミングが外壁塗装・屋根塗装のチャンスですよ!
こんなことを言われたら要注意です。
外壁塗装・屋根塗装の受注をしたいから、本来は必要でない足場を点検の時に設置しようとしている可能性があります。
点検の際にどうして足場の設置が必要なのか、納得できるまで説明してもらいましょう。
- 点検にドローンを使えないのか
- 家の中から点検できないのか
- 屋根に上ったり、脚立を立てて点検することはできないのか
顧客のことを大事にしている業者なら、なるべく安く済ませられる提案をしてくれるはずです。
ちなみに、塗装などの工事をする際には、品質を確保するためにも足場が必要になる可能性は高いから注意してください。
ここで言っているのは「点検のためだけに足場を設置するのは、やりすぎじゃないか」ということです。
メンテナンス費用と保証内容のバランスが大事
他の業者に外壁塗装やリフォームを頼むと、弊社の30年保証が切れてしまいますよ。
こんなことを言われることもよくあると思います。
これについては仕方ないと思います。他の業者に外壁塗装やリフォームを頼んだら、将来不具合が生じたときに、どの業者の工事が原因なのか特定しにくいためです。
- 複数業者に見積もりを取って比較すると、リフォーム費用・塗装費用が安くなる可能性は高い。
- その保証は本当に必要?保障内容は必ず確認しましょう。(よく起こる不具合に関しては保証対象外の場合もある)
- 塗装業者やリフォーム業者にも、保障制度がある業者は多い。
これらのことを総合的に考えながら、住宅を建てたハウスメーカーや工務店にメンテナンスを頼むか、他の業者に頼むかを判断しましょう。
10年間の瑕疵担保責任の存在
住宅を建ててから10年以内に
- 雨漏り
- 大きなひび割れ
- 家の傾き
などが起きたら、瑕疵担保責任の対象となり、家を建てた業者・売った業者に対して修理や損害賠償を請求できる可能性があります。
これらの不具合を発見したら、早めに、家を建てた(売った)業者に連絡するのがおススメです。
家の不具合やトラブルを無料で相談できる(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター(外部リンク)の「住まいるダイヤル」というサービスもあるので、困ったときは利用しましょう。
火災保険・地震保険の存在
火災や地震が原因で起きた不具合のメンテナンスは、地震保険や火災保険の対象となる可能性が高いです。
不具合は写真などで記録し、すぐに保険代理店か保険会社に連絡しましょう。
参考 外部リンク:火災保険の請求はどうやる? 事故発生から支払いまでの流れと、保険金申請のコツを紹介!(ダイヤモンド不動産研究所)
リフォーム見積もりチェックサービスがある
(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター(外部リンク)の「リフォーム見積もりチェックサービス」というサービスがあります。
無料で専門家に相談できるサービスなので、メンテナンス工事に不安がある際に利用すると良いでしょう。
「長期優良住宅にするとメンテナンス費用(補修費用)が高くなる」は誤解
長期優良住宅には、定期的に点検を行い、不具合があればメンテナンスを行う義務があります。
詳細:長期優良住宅の点検・メンテナンスしないとどうなる?|罰金や返金がある?
でも、長期優良住宅だからと言って、普通の家よりもメンテナンス費用が高くなったりはしません。
「そもそも長期優良住宅って何?」という人は、この記事を参考にしてください↓。
参考記事:【長期優良住宅とは?】認定基準・条件や確認方法を一級建築士が解説
よくある誤解の例
「長期優良住宅は新築時に計画したとおりに点検・メンテナンスをしないといけないから、普通の住宅よりも点検費用・メンテナンス費用がたくさん掛かる」
と思っている人は多いのではないでしょうか。
これは誤解です。
長期優良住宅のメンテナンス費用は、普通の住宅と同等か、むしろ安くできる可能性が高いです。
長期優良住宅は雨漏り、結露、シロアリ被害が起きにくい
長期優良住宅は、住宅性能表示制度の劣化対策等級3に適合していて、さらに床下点検口などの基準にも適合しています。
劣化対策等級3は、適切な維持管理を行えば75年~90年の間、構造躯体(柱や土台など)の大規模な改修をしなくて済むような基準です。
長期優良住宅は、これらの基準に適合しています。
特に、小屋裏換気や外壁通期構法が採用されている住宅は、採用されていない住宅に比べて、木材の腐朽・シロアリ・雨漏りのリスクが段違いに低いです。
つまり、長期優良住宅は、木材の腐朽・シロアリ・雨漏りによる、無駄な補修費用が掛かる可能性が普通の住宅よりも低いです。
長期優良住宅は配管のメンテナンスがしやすい
長期優良住宅は、住宅性能表示制度の劣化対策等級3にも適合しています。
↑こんな基準に適合しています。
仕上げ材や構造躯体(柱や土台など)を傷めずに配管を点検・清掃をすることができ、構造躯体(柱や土台など)を傷めずに配管を補修をすることができます。そのため、配管のメンテナンス時に、構造躯体や仕上げ材を傷めて、余計な補修費用が掛かるのを防ぐことができます。
維持保全計画書(建てた後の点検・メンテナンス計画)の基準は緩い
長期優良住宅の認定を受けるときに、維持保全計画書(建てた後の点検・メンテナンスの計画)を作成します。
建てた後は、この維持保全計画書に従って点検・メンテナンスを行う必要があります。
維持保全計画にもルールがあり、主なものはこんな感じです↓
- 最低でも30年後まで点検の計画を立てる
- 少なくとも10年に1度は点検を行う
- 大きな地震・台風等があったら、臨時点検を行う
- 点検の結果を踏まえ、必要なら補修を行う
点検は10年に1度でよく、補修も必要な時にすれば良い というのは、全然厳しいルールではないですよね
地震や台風後に不具合を見つけたら地震保険や火災保険で補修できる可能性もあるので、臨時点検も、しない理由が無いです。
ちなみに、点検や臨時点検は、家の持ち主が自分でやっても問題ありません。
参考記事:【長期優良住宅の定期点検】点検項目は?|自分で点検できる?【一級建築士が解説】
↓に、維持保全計画書の例を載せます。点検項目も、これに記載されているとおりです。
引用元:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会HP パンフレット(外部リンク)
長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]〔令和4年3月発行〕18ページ
長期優良住宅じゃなくてもメンテナンスは必要
長期優良住宅じゃなくても、定期点検やメンテナンス(補修)は必要です。
これらの↑不具合が起きると、メンテナンスや点検にかかる費用とは比べ物にならないほど、高額な費用が掛かることもあります。
点検やメンテナンス(補修)を行うことで、これらの不具合が起きるのを未然に防ぐことができます。
だから、無駄な補修費用を抑えたいなら、普通の住宅でも点検やメンテナンスは必須です。
どうせ点検やメンテナンスをしないといけないなら、点検やメンテナンスをしやすい長期優良住宅の方が良いですよね。
注意:長期優良住宅はメンテナンスフリーではない
ここで1つ注意点があります。
長期優良住宅には、構造躯体(柱や土台など)を守るための、工法についての決まりはありますが、「屋根材や外壁材に何を使うか」についての決まりはありません。
そのため、長期優良住宅だからと言って耐用年数が長い外壁材や屋根材を使っているわけではありません。
外壁材や屋根材の定期的なメンテナンスは必要です(再塗装など)
ちなみに、メンテナンスが不要な外壁材や屋根材はありません。
どんな材料でも多かれ少なかれ、補修や点検が必要です。
これも、長期優良住宅でも普通の住宅でも同じです。
- 長期優良住宅は雨漏り、結露、シロアリ被害が起きにくい。→○
- 長期優良住宅は、メンテナンスや更新がしやすい。→○
- 長期優良住宅の構造躯体(柱や土台など)は耐久性が高い→○
- 長期優良住宅の外壁や屋根は耐久性の高い材料を使っている→×
- 長期優良住宅はメンテナンスしなくて良い→×
まとめ
- 10年後、20年後にかかるメンテナンス費用は130~170万円程度、30年後にかかるメンテナンス費用は470~600万円程度(試算)
- メンテナンス費用を安くする方法は、複数社から見積もりを取って相場を知ること。
- 住宅ローンを見直し、浮いた金額をメンテナンス費用として積み立てるのがおすすめ。
- 「長期優良住宅にするとメンテナンス費用が高くなる」は誤解。
悪徳業者を避けながら、なるべく安くメンテナンスをしたい方は、一括見積サイトを利用するのも1つの方法です。
例えば外壁・屋根塗装の場合だと、以下のようなサイトがおすすめです。
こちらの記事で、外壁塗装の優良業者の特徴・選び方について解説しています。↓
参考記事:屋根・外壁塗装はどこに頼む?失敗しない選び方|おすすめ優良業者の特徴
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