長期優良住宅を建てると住宅ローン控除がよりお得になるの?
長期優良住宅と住宅ローン控除に何の関係があるの?
住宅ローン控除が2022年に改正されたの?
こんな悩みを解決します。
建築関係の企業で4年以上働いていて、一級建築士の資格も持っている私、だん(壇)が説明します。
2022年に改正された最新情報も踏まえてわかりやすく解説します。
今後のライフプランを考えて、購入する住宅の金額や住宅ローンの種類を決めないと、将来的にローンの返済が苦しくなってしまう可能性があります。
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【前提知識】長期優良住宅はメンテナンスしやすくて長持ちする住宅
長期優良住宅は、メンテナンスしやすく長持ちする住宅。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の基準に適合しており、特定行政庁(都道府県or市区町村)の認定を受けた住宅を、長期優良住宅と言います。
すごくざっくり言うと、メンテナンスしやすく長持ちする住宅です。
以下の項目の審査に合格している必要があります。
詳細:【長期優良住宅とは?】認定基準・条件や確認方法を一級建築士が解説
長期優良住宅のメリットは以下の通りです。
詳細:【メリット・デメリット】長期優良住宅はどんな人が向いてる?お得?
長期優良住宅に関する国交省のホームページで、わかりやすいパンフレットが見れます。
国交省のホームページはこちら
長期優良住宅を建てると住宅ローン控除の限度額が多くなる
住宅ローンを使って家を建てるとき、長期優良住宅の認定を取ると、住宅ローン控除がよりお得になります。ただし例外もあります。
住宅ローンは、13年間、毎年、住宅ローンの残高に応じて税金が戻ってくる制度です。
人によっては300万円以上節税することができる、とても強力な制度です。
そんな住宅ローン控除ですが、建てる家を長期優良住宅にすると、節税額を増やすことができます。
ただ、年収や住宅ローンで借りる金額によっては、長期優良住宅にしても住宅ローンの節税額が増えない場合もあります。後ほど詳しく解説します。
一級建築士である私、だん が解説していきます。
住宅ローン控除は、住宅ローンの残高に応じて税金が戻ってくる制度
住宅ローンは、13年間、毎年、住宅ローンの残高に応じて税金が戻ってくる制度です。
人によっては300万円以上節税することができる、とても強力な制度です。
良識ある普通の住宅業者で家を建てると、「省エネ基準適合住宅」になる場合が多いです。
ローンの借入額が高い人ほど、よりたくさん節税できるようになっています。
また、年収が高い人は、払っている所得税・住民税も高いので、住宅ローン控除をフルに活用できる可能性が高くなります。
反対に年収が低い人は、払っている所得税・住民税が少ないので、節税金額も①の金額で頭打ちになりやすいです。
価格コムで、住宅ローン控除で節税できる金額のシミュレーションができます。
長期優良住宅は、住宅ローン控除の借入上限額が増える
住宅ローンを使って家を建てるとき、長期優良住宅の認定を取ると、住宅ローン控除の上限額が大きくなります。=住宅ローン控除がよりお得になります。
③の金額が、住宅ローン控除の上限額です。住宅の性能によって決まっています。
例えば、多くの住宅の場合、節税額の上限額は4000万円×0.7%です。(最近建つ家はほとんどが省エネ基準適合住宅です。)そのため、4000万円以上のローンを借りても、4000万円×0.7%の金額しか節税できません。
しかし、長期優良住宅の場合は、上限額が5000万円×0.7%となるので、4000万円以上のローンを借りても、5000万円×0.7%までだったら節税できます。
そもそも4000万円以上のローンなんて借りないよ!という人も多いかもしれませんけどね...
そのへんは、次の章で解説します。
価格コムで、住宅ローン控除で節税できる金額のシミュレーションができます。
長期優良住宅にしても住宅ローン控除の節税額が増えない人もいる
長期優良住宅の認定を取っても、普通の住宅(省エネ基準適合住宅)の場合と比べて住宅ローン控除の節税金額が増えない人もいます。
こんな人は節税額は増えない
- 借入額が4000万円以下の人
- 年収約560万円以下の人(扶養家族無を想定)
(住宅ローン控除の金額は、扶養家族の人数などによっても変わります。
価格コムで節税額のシミュレーションができるので、詳しく知りたい人はやってみましょう。)
借入額が4000万円以下の人は、上記の②の金額が4000万円×0.7%よりも小さい金額になります。
そのため、普通の住宅(省エネ基準適合住宅)の場合でも長期優良住宅の場合でも節税額は同じになります。
また、年収がおおよそ560万円以下の人は、上記の①の金額が、4000万円×0.7%よりも小さくなります。
そのため、普通の住宅(省エネ基準適合住宅)の場合でも長期優良住宅の場合でも節税額は同じになります。
高年収で住宅ローンをたくさん借りる人以外は、長期優良住宅を建てても住宅ローン控除の節税額は増えないんです。
2022年の住宅ローン控除の制度改正|省エネ基準適合住宅・認定住宅って何?
2022年から、住宅ローン控除の制度が改正され、借入残額の上限や控除率が少なくなりました。(下表参照)
~2021年 | 2022年~ | |
控除率 | 年末の借入残額×1% | 年末の借入残額×0.7% |
控除できる期間 | 10年間 | 13年間 |
借入残額の上限 | 5000万円(認定住宅) 4000万円(上記以外) | 5000万円(認定住宅) 4500万円(ZEH水準住宅) 4000万円(省エネ基準適合住宅) 3000万円(上記以外) |
控除できる住民税の上限 | 136,500円 | 97,500円 |
住宅ローン控除で節税できる額の計算方法を知りたい人はこちら。(ページ上部に移動します。)
認定住宅やZEH水準住宅などについては、次の章から解説します。
控除できる住民税の上限が減り、控除率が減っているので、多くの人にとっては改悪です。
ちなみに、2022年よりも前は、長期優良住宅じゃない普通の住宅の、節税の上限額が、4000万円×1%でした。
そのため、「年収約750万以上で、住宅ローンを4000万円以上借りる人以外は、長期優良住宅にしても節税額が増えない」という状況でした。
今回の改正で、「年収約560万円以上の人で住宅ローンを4000万円以上借りる人なら、長期優良住宅にすれば節税額が増える可能性がある」という風に変わりました。
(※住宅ローン控除の金額は、扶養家族の人数などによっても変わります。
価格コムで節税額のシミュレーションができるので、詳しく知りたい人はやってみましょう。)
参考①(2022年の変更点):財務省HP
参考②(住民税から控除できる金額関係):総務省HP
認定住宅は長期優良住宅と認定低炭素住宅
認定住宅とは、長期優良住宅と認定低炭素住宅のことです。
長期優良住宅は、簡単に言うと「メンテナンスしやすくて長持ちする住宅」のことです。
認定低炭素住宅は、簡単に言うと「再生エネルギー設備が付いていて、省エネ性能が高い住宅」のことです。再生エネルギー設備は、太陽光パネルをイメージしてもらえば大丈夫です。
建てる家を長期優良住宅or認定低炭素住宅とするためには、行政(市区町村か都道府県)に図面を提出して認定を受ける必要があります。
認定通知書(行政が発行する)が、長期優良住宅・認定低炭素住宅の証明書となります。
長期優良住宅、認定低炭素住宅について詳細はこちら
ZEH水準住宅とは、断熱性能と設備の省エネ性能が高い住宅
ZEH水準住宅とは、断熱性能と設備の省エネ性能が高い住宅です。2022年の改正で新たに出てきた言葉です。
具体的には、断熱等性能等級5以上かつ、一次エネルギー消費量等級6の性能を持っている住宅です。
普通の住宅よりも、断熱性能と、設備(給湯器やエアコンなど)の省エネ性能が高いです。
断熱等性能等級について詳しく知りたい方はこちら
一次エネルギー消費量等級について詳しく知りたい方はこちら
ちなみに、ZEH水準住宅と、ZEHは別物です。
ZEH水準住宅は再生エネルギー設備(太陽光パネルなど)は必要ありませんが、ZEHの場合は再生エネルギー設備が必要です。
ZEHについて詳しく知りたい方はこちら
建設住宅性能評価書か、住宅省エネルギー性能証明書が、ZEH水準住宅の証明書となります。
建設住宅性能評価は、国の登録を受けた評価機関が発行します。
住宅省エネルギー証明書は、評価機関ではなく建築士さんに発行してもらうこともできます。
住宅性能評価について詳しく知りたい人はこちら。
省エネ基準適合住宅は最低限の省エネ性能がある住宅
省エネ基準適合住宅とは、最低限の断熱性能があり、設備(給湯器やエアコンなど)にも最低限の省エネ性能がある住宅です。2022年の改正で新たに出てきた言葉です。
具体的には、断熱性能等級4以上かつ、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅です。
ちなみに、2025年からは、省エネ基準適合住宅以外の住宅は建てられなくなります。
最近建っている住宅は、ほとんどが省エネ基準適合住宅です。
断熱等性能等級について詳しく知りたい方はこちら
一次エネルギー消費量等級について詳しく知りたい方はこちら
建設住宅性能評価書か、住宅省エネルギー性能証明書が、ZEH水準住宅の証明書となります。
建設住宅性能評価は、国の登録を受けた評価機関が発行します。
住宅省エネルギー証明書は、評価機関ではなく建築士さんに発行してもらうこともできます。
住宅性能評価について詳しく知りたい人はこちら。
住宅ローン控除を受けるために必要な手続き|入居1年目の確定申告
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告をしなければなりません。
1年目に確定申告をすれば、次の年からは年末調整で節税金額を受け取れます。
詳細:国税庁HP「マイホームを持ったときマイホームを持ったとき」
長期優良住宅にしたけど住宅ローンを組まない人には投資型減税がある
長期優良住宅にしたけど住宅ローンを組まない人には、「投資型減税」という減税制度があります。
長期優良住宅を建てて住む場合に、以下の金額が減税されます。
ちなみに住宅ローン控除と投資型減税を両方利用することはできません。
投資型減税では2年分の所得税額までしか減税できないので、300万円以上減税できることもある住宅ローン控除と比べると、物足りないですね。
まとめ
- 住宅ローン減税は、住宅ローンの残額に応じて所得税と住民税が戻ってくるお得な制度。
- 家を長期優良住宅にすると、住宅ローン控除の上限額が増える。
- 長期優良住宅にしても住宅ローン控除の減税額が増えない人も多い。
- 2022年から住宅ローン控除の制度が改正された。多くの人にとって改正の影響は無い。
本記事の参考としたページ:国交省HP「住宅ローン減税」
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