長期優良住宅は省エネ性能が高いの?
長期優良住宅の省エネ性能の基準を知りたい!
BEIとか一次エネルギーとか、よくわからん…
こんな悩みを解決します。
建築関係の企業で4年以上働いていて、一級建築士の資格も持っている私、だん(壇)が説明します。
2022年10月に改正された最新情報も踏まえてわかりやすく解説します。
マイホームを検討している人は、住宅展示場へ行く前に資料請求から始めることで、効率的に業者選びができます。また、建てた後で「こんな風にしておけばよかった」といった後悔が減ります。
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【前提知識】長期優良住宅はメンテナンスしやすくて長持ちする住宅
長期優良住宅は、メンテナンスしやすく長持ちする住宅。
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の基準に適合しており、特定行政庁(都道府県or市区町村)の認定を受けた住宅を、長期優良住宅と言います。
すごくざっくり言うと、メンテナンスしやすく長持ちする住宅です。
以下の項目の審査に合格している必要があります。
詳細:【長期優良住宅とは?】認定基準・条件や確認方法を一級建築士が解説
長期優良住宅のメリットは以下の通りです。
詳細:【メリット・デメリット】長期優良住宅はどんな人が向いてる?お得?
長期優良住宅に関する国交省のホームページで、わかりやすいパンフレットが見れます。
国交省のホームページはこちら
長期優良住宅は普通の住宅より省エネ性能が高い。省エネ性能の基準の内容は?
長期優良住宅は、普通の住宅より高い省エネ性能が条件となっています。
長期優良住宅の条件となっている省エネ性能には、「断熱性能」と、「設備の省エネ性能」があります。
これらの性能は、ZEH(ゼロエネルギー住宅)と同じ水準です。(ZEHと異なる点として、太陽光発電は不要。)
ただ、条件を満たすためのハードルはそこまで高くありません。大手ハウスメーカーだと、標準仕様で条件を満たしている場合も多いです。
UA値やηAC値、BEIなどの専門用語については、次の章から解説していきます。
長期優良住宅の断熱性能(断熱等性能等級5以上)
長期優良住宅の断熱性能は、真冬でも室内温度が最低9度くらいに保てる性能が必要。
長期優良住宅では、外壁や屋根や窓などの断熱性能が高い必要があります。
具体的には、断熱等性能等級5以上の必要があります。
(断熱等性能等級は、外壁や窓など断熱性能の格付けをするような指標です。等級1~7まであります。数字が大きいほど断熱性能が良いです。)
「〇〇等級」は、品確法に基づく住宅性能評価で定められている等級です。
住宅性能評価についての詳細:【一級建築士が解説】住宅性能評価と長期優良住宅の違いは?どっちを取るべき?
断熱等性能等級5を満たす家の場合、真冬でも室内温度をだいたい最低9度くらいに保てます。
断熱性能を高めるためには、窓枠を樹脂や木材としたり、ガラスを複層ガラスとするのが効果的です。
詳細:長期優良住宅の断熱性能|2022年10月改正で断熱性能等級5が必須に
長期優良住宅の設備の省エネ性能(一次エネルギー消費量等級6)
長期優良住宅の設備の省エネ性能は、BEIが0.8以下の必要がある。
=エネルギー消費を、普通の家の8割くらいに抑えられるような設備が必要。
長期優良住宅では、照明や冷暖房などの設備の省エネ性能も、普通の家より良い必要があります。
具体的には、一次エネルギー消費量等級6を満たす必要があります。
(一次エネルギー消費量等級は、設備の省エネ性能を格付けするような指標です。等級1~6まであります。数字が大きいほど省エネ性能が良いです。)
「〇〇等級」は、品確法に基づく住宅性能評価で定められている等級です。
住宅性能評価についての詳細:【一級建築士が解説】住宅性能評価と長期優良住宅の違いは?どっちを取るべき?
BEIについては、これから詳しく解説します。
BEIって何?
BEI=設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量。
簡単に言うと、BEIは、家全体のエネルギー消費量が多いか少ないかを表す指標です。BEIが小さいほど省エネ性能が良いです。
「BEIの値が小さいほど、省エネ性能が高い設備を使っていて、光熱費も安くなる」という認識でだいたい合ってます。
BEIの読み方は、普通に「ビーイーアイ」です。
長期優良住宅ではBEIが0.8以下でないといけません。これは普通の家の8割くらいのエネルギー消費に抑えられるような設備を使うイメージです。
BEIの詳細(マニアックなので読み飛ばしOK)
BEI=設計一次エネルギー消費量(※1)÷基準一次エネルギー消費量(※2)
※1:あなたが建てようとしている家で想定される、1年間の消費エネルギー量の合計。
(冷暖房・給湯・照明・換気・エレベーターの消費エネルギーの合計。冷蔵庫やテレビ、洗濯機などは含まれない。)
※2:普通の家で想定される、一年間の消費エネルギー量の合計。
(冷暖房・給湯・照明・換気・エレベーターの消費エネルギーの合計。冷蔵庫やテレビ、洗濯機などは含まれない。)
一次エネルギー消費量:
家で使うエネルギーには、電気とガスがあります。
BEIの計算では、電気の消費もガスの消費も、一次エネルギー消費量に換算することで、各設備の省エネ性能を比べやすくしています。
一次エネルギー消費量を用いることで、例えばガス給湯器と電気給湯器の省エネ性能を比較したりすることができます。
BEIを0.8以下にするには?どんな設備が効果的?
BEIを0.8以下にするのは難しくないです。
断熱等性能等級5を満たしたうえで、全ての部屋の照明をLEDにして、給湯器を高性能なもの(エコキュートやエコジョーズなど)にすれば達成できることが多いです。
ちなみに、断熱等性能等級5を満たすには、高断熱窓(Low-e複層ガラス+非金属の窓枠など)を使用するのが効果的です。
設備の省エネ性能を高くするメリット
設備の省エネ性能を上げることで、発電やガスの燃焼の際に排出される温室効果ガスを減らすことに繋がり、環境に優しいです。
また、設備の省エネ性能を高くすることで、ガスや電気の消費を少なくすることができるので、光熱費の節約にもなります。
長期優良住宅の条件にはなっていないが、気密性も大事
長期優良住宅の条件にはなっていませんが、気密性も大事です。
C値(値が小さいほど気密性が良い)が1.0以下となっているのが理想といわれています。
気密性とは、家の隙間の少なさのことです。気密性には、施工者(大工さんなど)の技術力が大きく関係します。
断熱等性能等級5以上を満たすような断熱性が良い家でも、気密性が悪いと、隙間風が入ってきてしまいます。
家を建てる際は、「C値が1.0以下となるようにしたい」と業者さんにお願いして、工事完了後にC値の測定をしてもらうのがおすすめです。(C値が小さいほど気密性が良い。)
長期優良住宅以外の省エネ住宅
長期優良住宅以外にも、省エネ性能が高い住宅があります。
低炭素住宅とZEHも、長期優良住宅と同じように、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6を満たしている必要があります。
長期優良住宅は、省エネ性能以外にも、耐震性や劣化対策性能が総合的に高いです。
それに対し、低炭素住宅やZEH(ゼッチと読みます)は、省エネ性能に特化しています。長期優良住宅とは違い、太陽光発電などの創エネルギー設備が必須です。
詳細:低炭素住宅・長期優良住宅・ZEHの違い|どれがおすすめ?【最新情報】
2022年10月から長期優良住宅の省エネの基準が見直しに
2022年10月から、法改正により長期優良住宅の省エネ性能の基準が厳しくなりました。
2022年10月より昔は、断熱性能の基準が今より甘く設定されていました。
また、2022年10月より昔は、設備の省エネ性能の基準がありませんでした。
昔は基準が甘すぎて「長期優良住宅の省エネ性能は時代遅れだ」と言われていました。
長期優良住宅の省エネ性能が厳しくなったことで、「長期優良住宅を建てたのに夏は暑いし冬は寒くてがっかり…」といったことが起こりにくくなるでしょう。
この記事の内容は、改正後の基準を元に書いていますので安心してください。
まとめ
- 長期優良住宅は普通の住宅より少し省エネ性能が高い。大手ハウスメーカーなら、標準仕様で条件を満たしていることも多い。
- 省エネ性能には、外壁や窓などの断熱性能(外皮性能)と、設備の省エネ性能(一次エネルギー消費性能)がある。
- 長期優良住宅は、普通の住宅より高い断熱性能が必要。断熱性能を上げるには高断熱窓(非金属サッシ+Low-e複層ガラス)の使用が効果的。
- 長期優良住宅は、省エネ性能が高い設備を設置することで、BEI(一次エネルギー消費量を表す指標)を0.8以下にする必要がある。
- 省エネ性能が高い設備を使うことで、光熱費を節約できる。
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