【一級建築士が解説】コーキング(シーリング)の補修方法・費用|DIYはやめた方が良い理由

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コーキング(外壁の継ぎ目にあるゴムみたいな物)がひび割れてきたので補修したい

コーキングの補修の費用相場をしりたい

コーキングの補修は自分でやってもいい?

こんな悩みを解決します。

この記事で分かること
  • コーキングの劣化の補修は、打ち換えと増し打ちがあり、打ち換えがおすすめ。
  • コーキングの補修の工事費の目安は、(1,290円×補修するコーキングの長さ)+足場代。
  • コーキングの補修は、外壁や屋根の塗装と一緒にした方がコスパが良い。
  • コーキングの補修を家の持ち主が自分でするのはおすすめしない。その理由を説明します。
だん(筆者)
だん(筆者)

建築関係の企業で4年以上働いていて、一級建築士の資格も持っている私、だん(壇)が説明します

 コーキングのひび割れ原因や、「放置して良いのか?」が気になる方はこちら↓
参考記事:【一級建築士が解説】外壁のコーキングのひび割れを放置すると雨漏りする?

 外壁のひび割れが気になる方はこちら↓
参考記事:【一級建築士が解説】危険度別-外壁のひび割れ(クラック)の対応・原因|放置していい?

コーキングの劣化やひび割れの補修方法

補修方法

コーキングの耐用年数は約10年|補修方法は2つ

 コーキングの耐用年数は約10年です。(参考記事:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターHP

 10年を目安に、コーキングの劣化状況や、他の補修工事との兼ね合いも考えながら、補修の時期を決めましょう。

 補修方法は以下の2つが一般的です↓

  • 増し打ち
  • 打ち換え

 増し打ちでは、既存のコーキングを残したまま、その上から新しいコーキングを施工します。

 打ち換えでは、既存のコーキングを撤去した後に、新しいコーキングを施工します。

 打ち換えの方が手間がかかるため料金は高くなりますが、増し打ちよりも長持ちします。

コーキングの補修には足場が必要ですが、足場をかけるのには数十万円がかかります。

打ち換えを行った方が、長持ちする分、足場代の節約となります

コーキングの補修は誰に頼む?

誰に頼む?
  • 家を建てた業者
  • リフォーム業者
  • 外壁塗装業者

 コーキングのひび割れなどの劣化が気になる場合は、まずは家を建てた業者(ハウスメーカーや工務店)に相談しましょう。

  • 補修の必要があるか
  • 保証で直してもらえるか

を確認しましょう。

 何らかの理由で家を建てた業者に補修してもらえない場合や、他の業者に頼みたい場合は、リフォーム業者や塗装業者に依頼する場合が多いです。

だん(筆者)
だん(筆者)

塗装業者は塗装を行う際に、下地処理としてサイディングのコーキングの補修を行うため、コーキングの補修も得意としています。

コーキングではなくガスケットの場合は、家を建てた業者に依頼したほうが無難

ガスケット

 サイディングの継ぎ目に、コーキングではなくガスケットが使われている場合があります。

 コーキングが比較的柔らかい材料であるのに対し、ガスケットは車のワイパーゴムのように、少し硬い材料です。

 大手住宅メーカーでガスケットが使われている場合が多いです。

 ガスケットはコーキングと施工方法が異なり、リフォーム業者や塗装業者では補修に対応できない場合も多いです。

 家を建てた業者に補修を依頼したほうが無難です。

参考:(外部リンク)住まいの足跡隊HP「ガスケットとシーリングの違い〜目地を詳しく勉強〜」

コーキングの補修をする場合の費用相場の目安

費用相場

コーキング補修費用の費用相場|試算してみた

①-1増し打ちの場合:1,070円×補修するコーキングの長さ(m)
①-2打ち換えの場合:1,290円×補修するコーキングの長さ(m)
②足場代:1,120円×足場の架面積(㎡)
③諸経費
参考資料:積算資料ポケット版リフォーム編2022(一般財団法人経済調査会)

だん(筆者)
だん(筆者)

コーキングは、外壁に多く使われる変性シリコン系ノンブリードタイプを想定しています。

足場は、多く使われる、くさび式ブラケット一側足場を想定しています。

足場の架面積は、足場の水平方向の長さ×高さ方向の長さを計算します。外壁面積より大きくなります。

 コーキングの長さは、2階建てなら縦方向で1か所当たり6~8mくらいです。

 1,2箇所の補修だけなら、足場をかけずにハシゴをかけて補修することもあり、その時は足場をかけたときよりも安くなります。

計算例(床面積100㎡程度、外壁面積170㎡程度、2階建ての住宅を想定)

①-2 コーキング打ち換え:1,290円×220m=283,800円
② 足場代:1,120円×252㎡=282,240円
合計:566,040円+諸経費

 床面積100㎡程度の2階建ての住宅のコーキングを全て打ち換えると60万円弱かかるという計算結果になりました(あくまでも目安です)。より広い家ならもっと高額に、より狭い家ならもっと低額になります。

 この記事よりも昔に作られた他のサイトを見ていると、コーキングの打ち換えの費用が800~1000円/mとしているサイトもありましたので、近年の物価高騰によりコーキングの補修費用も上がっていることが分かります。

他の補修工事と一緒に行った方がコスパが良くなる

 コーキングの補修をするためには、足場の設置だけで30万円弱の料金がかかることが分かりました。

 結構金額が大きいですよね。でも足場を設置しないと、工事の品質を確保することはできません。

 そのため、足場を設置する工事は、なるべくまとめて行った方がコスパが良くなります

 また、外壁の塗装の耐用年数はだいたい15年くらい、コーキングの耐用年数はだいたい10年くらいです。

 これらの理由から、10年くらいのスパンで、外壁塗装や屋根塗装と合わせてコーキングの補修を行うのが、コスパフォーマンスという面でも理想的です。

 また、コーキング部分にも塗装することで、紫外線から受けるダメージを防ぎ、長持ちさせることができます。コーキングを長持ちさせるという意味でも、外壁塗装とコーキングの補修を一緒に行うメリットは大きいです。

コーキングの補修をDIYで(自分で)やるのはおすすめしない理由6個

DIYでもできる?

 以下の懸念点があるため、コーキングの補修をDIYでやるのはおすすめしません。

  • 素人では既存のコーキングをうまく剥がせないことがある(打ち換えの場合)
  • コーキングの種類を間違えるとNG(シリコンコーキングを使うと塗装ができなくなる/ブリード現象に注意)
  • コーキングの厚さが不足しやすい
  • コーキングのハミ出し防止のために貼った養生テープをうまく剥がせない場合がある
  • 高所での作業は危険が伴うので絶対ダメ
  • 保証切れについて確認する必要がある

 どうしてもDIYで補修を行いたい場合でも、自己責任で、1階のコーキングを部分的に補修する程度にしておく方が良いでしょう。

DIYの方法についてはこちらの記事が参考になります↓

参考記事:(外部リンク)ホームプロHP「外壁のコーキングとは?DIYでの補修方法を解説」

 DIYは応急処置くらいに考えて、近いうちに業者による補修・塗装をした方が良いです。

 上の箇条書きで、分かりにくいものもあると思うので、いくつか説明します。

コーキングの種類を間違えるとNG(シリコンコーキングを使うと塗装ができなくなる/ブリード現象に注意)

 コーキングの補修をDIYでやる場合は変性シリコン系のノングリードタイプのコーキングを使いましょう。

 シリコン系を使うと、上から塗装をすることができなくなります。

 また、ウレタン系を使うと、紫外線に弱いので上から塗装する必要があります。塗装までDIYでやると失敗する可能性が高いのでお勧めしません。

 ノンブリードタイプのコーキングを使わないと、ブリード現象という現象が起き、コーキングが汚く変色してしまいます。

だん(筆者)
だん(筆者)

コーキングにはいろんな種類があるので、

家の外壁材(サイディング)に合ったコーキングを使用するのが重要です。

コーキングのハミ出し防止のために貼った養生テープをうまく剥がせない場合がある

 コーキングを施工する際は、目地(コーキングを入れる場所=サイディングの継ぎ目)の両側に養生テープを貼ります。コーキングがサイディング側にはみ出すのを防止し、キレイに仕上げるためです。

 養生テープは、コーキングを詰め終わったら、コーキングが固まる前に外します。

 素人がやると、養生テープをうまく剥がせず、残ってしまう場合があります。

保証切れについて確認する必要がある

 家を建てた業者(ハウスメーカーや工務店)による保証が残っている場合は、コーキングのDIY補修によってその保証が切れないかどうか確認した方が良いです。

 例えば、コーキングのDIYでの補修を行った後に雨漏りが起きた場合、

  • DIYでの補修が原因で雨漏りが起きたのか
  • 新築時の施工が原因で雨漏りが起きたのか

 どっちなのかが確認しづらく、保証による雨漏り補修をしてもらえなくなる可能性があります。

助手
助手

家を建てた業者以外のリフォーム業者・塗装業者にコーキング補修を依頼する場合も、家を建てた業者の保証が切れてしまう可能性があります。

そのため、リフォーム業者・塗装業者に満足できる保証があるかを確認するのがおすすめです。

まとめ

  • コーキングの劣化の補修は、打ち換えと増し打ちがあり、打ち換えがおすすめ。
  • コーキングの補修の工事費の目安は、(1,290円×補修するコーキングの長さ)+足場代。
  • コーキングの補修は、外壁や屋根の塗装と一緒にした方が足場代の節約になる。
  • コーキングの補修を家の持ち主が自分でするのはおすすめしない。やるなら応急処置程度に考えよう。

コーキングや外壁の劣化に気づいたら…

 コーキングのひび割れに気づいたら、外壁塗装の時期が近付いているサインです。

 検討を始めましょう。

参考記事:外壁塗装の必要性を一級建築士が解説|しないとどうなる?みんなやってるのはなぜ?

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